法律って、法学部に入って初めて勉強する人がほとんど。今は法律家として働いている僕だって、もちろん大学での勉強が”はじめての法律”でした。
「新しい学問だ!」というワクワクもあると思いますが、同時に「難しいんじゃないかな…」と不安な気持ちもありますよね。
その上、大学の定期テストの勉強方法を教えてくれる人って全然いないし…。僕も当時、誰に聞いたらいいのか分からず、とても苦労しました。
というわけで今回は、
と悩んでいる、当時の僕のような不安だらけの法学部1年生に、法学部卒業生の僕が”定期テストを効率良く突破する方法”を紹介します!
高校までの定期テストと、法学の定期テストとの違い
まず初めに知っておいて欲しいのは、高校までの定期テストと法学の定期テストは全然違うということ。
簡単な表にまとめるとこんなイメージです。
法学の定期テスト | 高校までの定期テスト | |
出席点・受講態度 | 評価なし | 評価あり |
課題提出点 | なし | あり |
テスト範囲 | 比較的広い | 比較的狭い |
テスト時の持ち込み | 原則六法は可能 | 原則持ち込み不可 |
赤点の時の救済措置 | ない場合が多い | ある場合が多い |
※僕の体験をもとにしているため、実際は異なる場合があります。
高校までの定期テストとはガラッと方法が変わり、驚く方も多いのではないでしょうか。
それでは早速、それぞれの項目を具体的に説明していきますね!
1、出席点・受講態度
法律科目の講義の場合、基本的に出席点や受講態度は評価されません。
というのも、高校までの授業の場合、生徒数は1クラスあたり30名程。
30名程度であれば、先生も生徒の顔と名前を覚えられるので、どの生徒が出席しているか&授業を真面目に聞いているかを把握することが出来たんです。
高校の時、
と先生に抗議している友人がいましたが、これも先生がしっかり出席率や授業態度を把握できているからです。
一方、法学の講義は、一つの講義に対して受講生は何百人単位になります。そのため、出欠を取るのも時間がかかるし、出席票を管理するのも一苦労。
また、さすがに教授も学生の顔と名前が一致しないことがほとんどなので、授業態度を評価することが難しいことから、出席点や受講態度は評価されないことが多いのです。
※明らかに講義の邪魔になるような学生は、学籍番号等を把握されることもあります。
2、課題提出点
高校までは、定期的に問題集の提出や小テスト等がありましたよね。
つまり、定期テスト以外にも「頑張っていますアピール」をする機会があったので、定期テストの点数だけで成績が決まるわけではありませんでした。
一方、法学の講義は、定期的な小テスト等はありません。前にも言ったように、学生の人数が多過ぎるため、その都度採点するのが大変なのです。
そもそも、高校の先生は、生徒に勉強を教えるのが仕事なので、生徒に勉強内容を理解してもらうために色々工夫(わかりやすい授業・小テスト等)をしてくれます。
それに対し、大学教授の本業は”講義”ではなく”研究”ですから、
というのが本音。
高校までの授業と大学の講義の色々な違いは、こういった背景が原因になっていることが多いので、覚えておくと良いかもしれません。
もちろん教授の中にも、高校の授業のように分かりやすく、しっかりと練られた授業をされる方々もいらっしゃいます。
そういう授業は比較的テスト対策もしやすいので、積極的に受講しましょう。
サークルの先輩に聞いてみたりすると、「○○教授の授業おすすめだよ!」と教えてくれることも多いですよ!
3、テスト範囲
そもそも高校までのテスト範囲は、比較的細かく「単元●●~単元××まで」のように案内されていましたよね。
また、学期で2回定期テスト(中間・期末)があるので、1回分のテスト範囲はそこまで広くありませんでした。
一方、法学のテスト範囲は、「p1~p230」のように、わりと大雑把に案内されることが多いです。
そのため講義に出ていないと、そのページの中でもどの部分を重点的に講義で扱ったのかがわからないので、
と、テスト直前になって途方に暮れることになります。
前期と後期で1回ずつの年2回しか定期テストがないため、どうしてもテスト範囲が膨大になってしまうのです。
そのような理由から、例え出席点がない授業であっても、日頃からきちんと講義に出席することが大切です。
4、テスト時の持ち込み
高校までの定期テストでは、教科書やノートを見ながら解答出来ることなんてなかったですよね。だって、教科書やノートを見れば解答が書いてあるから。
一方、法学の定期テストは、基本的に六法は持ち込みOKな上、講義によっては判例六法やレジュメ(プリント)を持ち込める場合もあります。
なぜ持ち込めるのか…それは法学の定期テストが、六法等をその場で確認すれば解答出来るようなテストではないから。
なんて思っていたら、とんだ大誤算なのです。
法学の定期テストのパターン別攻略法は、この後の「具体的な法学のテスト対策」という項目に書いてあるので参考にしてみてくださいね。
「六法持ち込み可」と書いてあっても、基本的に書き込みをした六法は持ち込むことができません。
ちなみに、実際に書き込みした六法を持ち込んでカンニングした知り合いは、その期の単位は全て認められなかったようです…。(つまり取得単位0!\(^o^)/)
5、赤点の時の救済措置
高校までの場合、例えテストで赤点等を取ってしまったとしても、なんとか成績が1にならないように先生が
- 追加の課題を提出すればOK
- 補講を受ければOK
など、色々な救済措置を与えてくれましたよね。
おそらく、高校生であれば「留年≒退学」となりがちなので、留年しないように色々と工夫してくれていたのでしょう。
もちろん、先生と生徒の距離が近いため、生徒への愛情があるのも大きいと思います。
それに対し大学は、赤点を取った場合の救済措置はほとんどありません。単位認定に関しては高校よりとってもシビアなのです。
特に法学の単位は、1回の定期テストでほぼ成績が決まるので、しっかりとテスト対策をしましょう!
ちなみに明治大学では、
- 法学部1~2年生…和泉校舎(明大前)
- 3~4年生…リバティタワー(お茶の水)
と、学年によって通う校舎が異なるのですが、必要な単位が修得できず、よく「和泉返し」が行われていました…。
<補足>
「和泉返し」…和泉校舎でしか受講出来ない1~2年の必修講義があり、2年までにそれらの単位を修得出来ないと、3~4年になっても和泉校舎に通うハメになる悲しい現象。
法学の定期テストって、どのくらい難しいの?
具体的な対策方法をお伝えする前に、まずは1年生の法学定期テストの特性を知っておきましょう!
法学の講義自体は難しく感じると思いますが、1年生の法学の単位修得はそこまで難しくないので安心してくださいね。
まず、1年生の法学の定期テストは基本的な論点(※)が出題されがちです。ちゃんと講義をきいていれば、
なんてことにはなりません。
※「論点」…色々な考え方が出来るため、議論が白熱しやすい議題のこと
というのも、先ほども言ったように教授の本業は”研究”でありテスト採点ではないので、採点に時間をかけたくないんです。
例えば、テストを受けた学生が200人いたとして、1人の採点に30分かかったら…採点するだけで100時間!採点にそんな時間がかかったら、肝心の研究ができなくなってしまいますよね。
また、基本的な論点が出題されがちなのは、そのような理由だけではありません。
他の理由としては、大学側が単位を落とし過ぎる教授を嫌がるから。
なぜ、そのような教授を嫌がるか…それは、
という可能性があるからです。
そのため、教授も
なんて酷なことはしません。大学に嫌われたら、そこで研究も出来なくなってしまいますからね💦
だからこそ、特に1年生向けの法学テストは、法学を学びたての学生でも解答しやすいように基本的な論点が出題されやすくなるのです。
ちなみに、基本的な論点は数が限られているので、過去問を入手すると心強い味方になりますよ!
具体的な法学の定期テスト対策!
ここからは法学の定期テストにありがちな出題パターンごとに、具体的なテスト対策方法をお伝えします。
試験前は時間がなくなりがちなので、やることを明確にして、最短で突破しましょう!
①「◯◯を説明しなさい。」という問題の対策
このタイプの問題は、論点になっている単語や説について、論述するパターンです。
〈勉強する時のポイント〉
Step1:基本的な論点に関係のある言葉をピックアップする
出題に向いている基本的な論点は限られているため、試験範囲内の論点に関係のある言葉を全てピックアップしましょう。
講義に出席していると、論点に関係のある言葉のピックアップも簡単に出来ます。
Step2:事前に論述式の解答を、通説・判例の立場でまとめる
Step1でピックアップした言葉を、通説・判例の立場でまとめます。
論述式の試験は、解答用紙の半分以上は書かないと基本的に採点してくれません。
解答用紙はほとんどA3サイズ(A4ルーズリーフ2枚分)なので、なるべく1つの論点でA3用紙の半分を超えるくらいの内容でまとめましょう。
Step3:まとめた解答案を暗記する
Step2でまとめた各論点について、よく読みこんで内容を暗記します。
まとめた内容は、こんな感じで論理的な文章になっているはずです。
◯◯はこういうことである(通説判例)。
なぜならば〜だからである。
しかし、反対説からは××という反論がある。
この反論は△△の点で妥当ではない。
したがって、通説判例の立場で解釈するのが妥当である。
一字一句を丸暗記というよりは、重要な用語と因果関係を暗記するイメージです。
例えば、桃太郎の昔話を覚えるなら、
「昔々あるところに、おじいさんとおばあさんが…」
と一字一句覚えていくのではなく、
- おじいさん⇒山に芝刈り おばあさん⇒川に洗濯
- 川から大きな桃が流れてくる
- 桃を持ち帰って切ったら男の子が出てくる(=桃太郎と名付ける)
…のように、大体のストーリーや単語を覚えていくイメージ…と言えばピンときますでしょうか。
このように、大事なポイントや流れの暗記が出来ていれば、テストの時にも大枠がスラスラと書けるようになります。
あとは、自然な文章になるように肉付けをすれば、事前に自分でまとめた文章と同じような答案の出来上がりです!
「上手なまとめを作れない…」という方は、「スタンダード100」という論文答案集が、まとめ作成の大きなヒントになるので一冊持っておくと便利。
司法試験・予備試験用のテキストにはなりますが、大学の定期テストでもかなり役立つのでおすすめです!
司法試験・予備試験 論文合格答案集 スタンダード100「民法」
②「◯◯を××説の立場から論じなさい。」という問題の対策
このタイプの問題は、論点になっている単語等を、与えられた立場で論述するパターンです。
「○○を説明しなさい」という問題ならば、通説・判例に立てば良かったのですが、「○○説の立場から~…」の場合は反対説を指定される場合もあるので注意しましょう。
〈勉強する時のポイント〉
大体の流れは、先ほど紹介した「○○を説明しなさい」の勉強法と同じです。
ただ、通説・判例以外で有力説がある時は、その立場でも論述できるようにまとめを作成しておきましょう。
③事例問題の対策
事例問題とは、
Aは、友人Bに対し、冗談のつもりで『僕が購入した甲土地を譲るよ』と言った。だが、Bがこれを信じて勝手に甲土地の所有権移転登記を済ませてしまった。
この場合において、AはBに対して甲土地の所有権返還請求ができるかにつき、論じなさい。
といったように、具体的な争いが問題になっているものです。
ちょっと難しく感じますが、1年生の法学テストの場合、事例問題は授業で扱った事例をそのまま出したり少し変えて出すパターンが多いので、それほど難しくはありません。
事例の中から論点を探して(講義で扱われているはずです!)、自分の好きな立場で論じます。
〈勉強する時のポイント〉
事例問題が出題されたときは、基本的に通説・判例の立場で論述しましょう!
そうすることによって、①と②の対策としてまとめたものが利用できます。
大多数の人は通説・判例の立場が一番しっくり来るでしょうから、理解も論述も楽だと思いますよ。
また、このパターンの問題は、講義に出席していたことが大きなアドバンテージになります!
もちろん、
という方は、反対説の立場から解答しても問題ありません。
勉強法さえ分かれば、法学の定期テストは怖くない!
大学に入り、「充実したキャンパスライフの幕開けだ!」と思ったのも束の間、
と焦った方も多いはず。
確かに、高校のテストとは方式こそ違いますが、勉強法さえ分かれば法学のテストはそれ程怖くありません。
もちろん、大学は勉強するための場所ではありますが、友人たちとの楽しい思い出を作る場所でもあります。
社会人になると、なかなか皆で予定を合わせて遊ぶって出来なくなりますからね…。
だからこそ、効率の良い勉強法をマスターして、遊ぶ時間も充実させましょう!
ぜひ、楽しい大学生活を送ってくださいね!最後まで読んでいただきありがとうございました!
司法試験・予備試験 論文合格答案集 スタンダード100「民法」